姫路藩(2/2)池田輝政や酒井家など名門が治める

姫路藩

池田家の家紋「備前蝶」

記事カテゴリ
藩史
藩名
姫路藩(1749年〜1871年)
所属
兵庫県
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ここまでめまぐるしく治める家が変わった理由は、播磨国が幕府にとって要所であったことと、歴代藩主が後継ぎの幼いときに亡くなる例が多かったためです。

そのため、姫路藩は15万石で親藩が治める藩となり、藩主が後継の幼いときに亡くなると国替えを行うことが慣習化しました。

ですから、1代~3代ごとに治める家が変わっています。
歴代藩主の中には、白河騒動の引き金になった松平忠弘などもいました。
ここまで国替えが多いと、藩主の多くがろくに功績をのこせないまま代替わりをしています。
しかし、中には意外なことで名を残し、有名になった大名もいました。
越前松平家二代目当主、松平直矩です。彼は大名の中でも最も多く国替えを経験し、「引っ越し大名」のあだ名を付けられた悲運の人です。

2019年、松平直矩が姫路藩から日田藩へ国替えを命じられたときの顛末を描いた「引っ越し大名」という映画が公開されました。

松平直矩を及川光博さん、引っ越し奉行の片桐春之介を星野源さんが熱演し、ヒットしました。なお、この松平家に伝わっていた家宝の槍「御手杵」は、2015年にサービスを開始したブラウザゲーム「刀剣乱舞」に登場して知名度が一気に上がり、いまではレプリカが保存されている三島市の観光資源となっています。

酒井家の治世

さて、このように治める家がめまぐるしく変わった時代を経て、姫路藩は酒井忠恭が藩主の座につきます。酒井忠恭は9代将軍徳川家重が将軍につく前から西の丸老中として権力を握っていました。徳川家重が9代将軍についてからは、老中首座となります。酒井忠恭は、老中であると同時に上野前橋藩第9代藩主でしたが、上野前橋藩は利根川の氾濫が相次ぐ治世が困難な土地でした。年貢の実入りも少なく酒井家の格式を保つのに不適当であるとし、酒井家の財政立て直しのために姫路に国替えをしたのです。

この国替えに、酒井家の家老である川合定恒という人物が最後まで反対しましたが、無理矢理押し切って国替えは行われました。そのため、川合定恒は姫路国替えに積極的だった家老本多光彬や用人犬塚又内を家に招き入れて殺害し、後に自害しています。

なお、ここまでして国替えをした姫路藩は、当時夏に大干ばつが起きて一揆が多発、「寛延大一揆」と呼ばれる大規模な騒動にまで発展します。

また、酒井忠恭が姫路に入る直前の7月には台風が直撃、前述した川合定恒が独断で姫路城を開城して避難民を受け入れ。備蓄米を振る舞ったという記録が残されています。

しかも、8月には再び台風が来襲、酒井忠恭のもくろみははずれ、姫路藩は年貢の取り立てもままならないほどに荒れ果ててしまい、酒井家の財政はますます逼迫しました。

しかし、酒井家はこの難局をのりきり幕末まで姫路藩を治め続けます。財政が好転したのは三代目藩主の酒井忠道の時です。酒井忠道は河合道臣という人物を家老に付け、社倉(食料備蓄制度)冥加金(災害時緊急用貯蓄)を領内の百姓に徹底させます。
その後、木綿の栽培推奨、養蚕の直轄化、サトウキビの栽培など商品作物に力を入れて財政を建て直していったのです。

なお、この時代木綿の販売権は大阪の商人が持っていましたが、酒井忠道の八男・忠学の正室が11代将軍徳川家斉の娘だったため、将軍家の後ろ盾をもって木綿の売買権を藩直轄にしたということです。

財政を建て直した姫路藩はその後短命の藩主が続きますが藩政は安定していました。
酒井家が再び歴史の表舞台に出てくるのは8代目藩主酒井忠績の時代です。酒井忠績は江戸幕府最後の大老となり、兵庫港の開港などを巡って朝廷対策に奔走しました。
幕末を舞台とした歴史小説に名前だけはよく登場する人物です。

なお、酒井忠績とその子、酒井忠惇は戊辰戦争の鳥羽伏見の戦の責任を問われ、明治政府から蟄居を申しつけられます。大老・老中の座も剥奪され、政治にかかわることを禁じられました。また、明治になってからは姫路藩の佐幕派家臣の粛清を命じられます。

しかし、酒井忠績・酒井忠惇はその後許され、共に華族に任ぜられます。最後の藩主であった酒井忠邦は、慶應義塾大学に入学した後でアメリカに留学までしますが、25才の若さで没しました。

まとめ その後の酒井家

姫路藩主酒井家は10代で幕を下ろしますが、血脈はその後も受け継がれます。
戦前の政治家酒井忠正さんは、酒井忠邦の孫、秋子と結婚して婿養子になり、農林大臣などを務めた後、大相撲の横綱審議委員会初代委員長、日本プロレス協会初代会長を勤めました。
現在の酒井家当主である酒井忠輝さんは、オーストラリアで牧場を経営する実業家兼、馬術家として活躍しています。

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AYAME
執筆者 (ライター) 江戸時代を中心とした歴史大好きライターです。 趣味は史跡と寺社仏閣巡り、そして歴史小説の読書。 気になった場所があればどこにでも飛んでいきます。 最近は刀剣乱舞のヒットのおかげで刀剣の展示会が増えたことを密かに喜んでいます。
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