松原落ち着いた住宅街に残る歴史の足跡を散歩

日本の旅侍×「和と人の交流ちとせ」の企画「和さんぽ」。今回はモデルや役者として活躍中の森仲ジョウさんと一緒に、世田谷区の北側にある松原をお散歩しました。

松原と東急世田谷線

松原は東京都世田谷区の北側にある地域で、甲州街道を超えると隣は杉並区です。地域内には京王線・井の頭線の明大前駅、京王線・東急世田谷線の下高井戸駅、井の頭線の東松原駅などがありますが、今回は東急世田谷線の松原駅を起点に周辺を散歩しました。

オレンジ色の東急世田谷線に乗って到着したのが松原駅。ちなみに東急世田谷線はカラフルな色合いが特徴で、緑や黄色、青などさまざまな色の車両はフォトジェニックです。

松原駅ができたのは昭和24年（1949年）のこと。当時は「玉電松原駅」と呼ばれていましたが、昭和44年（1969年）に現在の名前になりました。一見静かな駅ですが、朝のラッシュ時には通勤・通学の人でにぎわいます。

松原駅の周辺は落ち着いた雰囲気の住宅街が広がっています。その分駅の近くに商業施設や娯楽施設は少ないですが、スーパーやコンビニなど生活に必要なお店はしっかりそろっています。おしゃれなレストランやカフェなどもあるので食事には困りません。近くに公園や保育園が多いのも特徴です。

戦国時代から続く赤堤六所神社

線路沿いをのんびり散歩すること約3分、少し横道にそれると見えてくるのが赤堤六所神社の入り口です。赤堤六所神社の創建は戦国時代で、天正12年（1584年）12月に平貞盛の子孫・服部貞殷が、武蔵国府中（東京都府中市）の武蔵総社六所宮、現在の大國魂神社を勧請して赤堤の鎮守と定め、服部家の祈願所としたのが始まりとされています。

創建した服部貞殷についてはよくわかっていませんが、公式HPによると服部家はその後、駿府奉行や松前奉行などを務めたそう。赤堤六所神社の別当寺にあたる、赤堤にあるる真言宗豊山派の光林山持明院西福寺に一族の墓所が残されています。ちなみにここにはゴローニン事件の時の松前奉行で有名な服部貞勝の墓碑があります。

「赤堤」はこのあたりの地名にもなっていますが、この地にあったとされる、赤土の高台にあった防塁のこと。発祥は奈良、室町、戦国時代など諸説あるためはっきりしていないようです。

また、同地には世田谷を治めていた吉良氏が世田谷城の北を守るために「赤堤砦」を築いたそうで、赤堤六所神社がその跡地だったと推定されています（諸説あり）。さらにこのあたりには江戸時代に赤堤陣屋があったのだとか。ただしその場所もはっきりしておらず、神社あたりだったのでは…とされています。

神社はその後、明治7年（1874年）には赤堤村社と定められ、鎮守の社として村人たちから崇敬されました。ご祭神は大国主命で、縁結びの神様としても知られています。このため縁結びにちなんだお守りや絵馬が用意されているほか、神社での和装結婚式も盛んにおこなわれています。このほか、商売繁盛に五穀豊穣、病気平癒、家運降昌など、さまざまな後利益があります。

本殿は昭和44年（1969年）にそれぞれ再建されたもの。朱塗りの柱と周囲の緑とのコントラストが美しいですよ。

このほか境内には六所神社、松沢稲荷神社、厳島神社などのお社があります。神社の横にはあかつつみ幼稚園があり、お祭りの際園児たちがお神輿を担ぐ姿が見られるのだとか。かわいらしいですね。

ちなみに赤堤六所神社のすぐ隣には日蓮誠宗三界寺があります。開基・開山は高橋玄覚師で、当初は日蓮正宗でしたが昭和27年（1952年）に開山後独立し、日蓮誠宗となりました。門扉がおしゃれなお寺さんです。

気軽に和菓子を楽しめる「和菓子 よも」

散歩を楽しんだ後、松原駅に戻り、駅の周りを散策してみると小さな和菓子屋さんを発見！「和菓子 よも」です。

「また食べたくなるような気軽な和菓子」を作っている和菓子屋さんで、2023年12月に開業したばかり。さっと入れるよう店はガラス貼りで、気軽に入って好きな和菓子を買って帰れる、そんな雰囲気のお店でした。店主さんがおひとりでされているそうで、なんだかアットホームな感じです。

訪れたとき、店内にはうさぎの形をした薯蕷饅頭や黄身時雨製の「落葉」をはじめとした生菓子に加え、「珈琲まんじゅう」等の焼き菓子も用意されていました。なお、季節によって和菓子の種類は異なるので注意しましょう。

今回はおいしそうなお饅頭をセレクト。空きのこない優しい味わいのお饅頭でリラックスすることができました！

【今回の散歩コース】

松原駅→線路周辺を散策→赤堤六所神社→和菓子　よも

【今回訪れたスポット】

「赤堤六所神社」東京都世田谷区赤堤2-25-2 六所神社
「和菓子　よも」東京都世田谷区赤堤3-3-16松原コーポ1F