下高井戸昭和を感じさせる学生街を散歩
- 和さんぽとは 和装で各地をお散歩する企画です。各地の名所、名跡、スポット、食事処などご紹介します。
今回の和さんぽはモデルや役者として活躍中の森仲ジョウさん。森仲さんと一緒に、東京都杉並区・世田谷区にまたがる下高井戸駅の周辺地域をお散歩しました。
下高井戸とは
東京都杉並区南部にある下高井戸は、京王線・東急世田谷線の「下高井戸駅」を中心にした地域です。下高井戸駅は京王線で新宿まで直通で約11分と都心へのアクセスが良好。また、東急世田谷線はレトロな路面電車で、鉄道ファンをはじめ多くの人から愛されています。
なお、下高井戸一帯は「しもたか」の愛称でも親しまれていますが、実は下高井戸駅は世田谷区松原三丁目にあり、駅の南側は世田谷区だったりします。下高井戸は杉並区民に加え世田谷区民からも親しまれている町で、両区が共同で周辺開発に取り組んでいます。
この一帯は江戸時代、甲州街道の1番目の宿場町である「高井戸宿」でした。下高井戸宿と上高井戸宿の小さな宿場町が2つでひとつの「高井戸宿」として機能しており、月の半分ずつを交代で受け持つ「合宿」だったのです。ただし、日本橋から高井戸宿までは約16kmもあり遠かったことから、高井戸宿の手前に「内藤新宿」が作られて以降は素通りされがちになったようです。
大正時代に下高井戸駅ができると駅周辺に店舗ができ、戦後は小さなお店が立ち並ぶようになります。昭和31年(1956年)にはアーケード街「下高井戸駅前市場」が誕生。生鮮食品を扱う市場は多くの人が訪れるようになりましたが、老朽化で今年の3月末に閉鎖されています。跡地には将来駅前広場が整備される予定です。
また、京王電鉄は京王線連続立体交差事業を実施している最中で、それにともない下高井戸駅は高架化する予定です。工事が着々と進んでおり、2030年度末には新たな下高井戸駅がお目見えする予定。日々移り変わる風景は今だけしか見られません。
このほか、下高井戸は昭和12年(1937年)、日本大学の予科文科世田谷校舎(現日本大学文理学部)が開校舎して以来、落ち着いた雰囲気の学生の町として知られています。駅から少し離れると閑静な街並みが続くのも特徴の一つです。
「しもたか」の代表・下高井戸商店街
下高井戸駅周辺には日大通りに駅前通り、甲州街道に続く北口レンガ通りに公園通りなどさまざまな通りがありますが、下高井戸商店街はそうした道に広がる大きな商店街です。八百屋さんや魚屋さんをはじめとした生鮮食品にレストランやカフェ、花屋に呉服店など、さまざまな種類のお店が点在しています。3月に下高井戸駅前市場が閉鎖されたとはいえ、昭和を思わせる古い建物は健在で、昭和レトロを感じながらのお散歩にぴったりのスポットです。
お店を紹介してくれる「しもたかステーション」はぜひ訪れてほしいお散歩の立ち寄りスポット。常駐のスタッフさんにおすすめを聞いてみましょう。
菅原神社 地元から愛される氏神様
下高井戸駅西口から散歩すること約10分、玉垣に囲まれた赤い社殿と白いのぼりが見えてきます。学問の神様として愛される菅原道真公を祀る「菅原神社(菅原天神)」で、住宅街のなかにひっそりと鎮座しています。ちなみにこちらは杉並区ではなく世田谷区です。「松原の菅原神社」として世田谷百景にも選ばれています。
社殿によれば、寛文五年(1665年)2月、当時付近で寺子屋を開いていた石井兵助直慶が勧請した神社で、菅原道真公を祀る「大願成就南無天満宮自在天神」と刻んだ石碑を建立したのが始まりとのこと。神社が建てられたのは宝暦11年(1761年)で、松原村の氏神様として信仰を集めました。
境内には菅原道真公の神社ということで、道真公が愛した梅が随所に植えられており、冬には甘い香りとともに可憐な紅梅が咲き誇ります。道真公は歌人としても知られており、京都から太宰府へ左遷された際に詠んだとされる「東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」は有名。太宰府天満宮には道真公を慕った梅が一夜にして太宰府まで飛んで追いかけてきたという「飛梅伝説」が残っており、道真公を祀る神社には梅が植えられていることが多いんです。
また、道真公といえば「使いの牛」。丑年生まれで、亡くなった日も丑の日だった、太宰府に左遷される際に牛に乗っていた、など諸説ありますが、道真公をお祭りする神社は「使いの牛」が置かれています。菅原神社にもちゃんとあるので探してみてくださいね。
境内には厳島神社や御嶽神社、稲荷神社、大黒・恵比寿社などが祀られています。弁天池に祀られている厳島神社は朱塗りの橋と社殿が美しく、ちょっとしたフォトスポットです。このほか、境内の一角には江戸時代末から明治時代のものと推定される、力比べに使われていた力石が4つ置かれています。
普段は静かな神社ですが、5月の弁天まつりや9月の例大祭には屋台が並び、地元の人々を中心に盛り上がります。神楽殿もあり、弁天まつりの際は知恵餅と福銭が撒かれます。いつかお祭りで盛り上がる神社にも行ってみたいですね!
「鶴橋粉舗てこや 下高井戸駅前店」で美味しいたこ焼きをいただく
神社を楽しんだあとは下高井戸駅方面に戻ります。途中にあった赤い看板が特徴の「鶴橋粉舗てこや 下高井戸駅前店」の香ばしいにおいにひかれて今回はこちらで一休みです。
鶴橋粉舗てこやは大坂発祥のたこやきチェーンで、本場のたこ焼きが食べられると評判のお店です。下高井戸にオープンしたのは2017年のこと。
たこ焼きには高級真ダコが使われており、和風だし入りの生地は外はかりっと、中はとろふわな食感です。たこ焼きのソースは自社開発のオリジナルソースに加え、牡蠣しょうゆ味にうま塩味といったちょっと変わった味も用意されています。何もつけないそのままの「ぼうず」というのもありますよ。
たこ焼きは6個、8個、12個、15個とおなかのすき具合でチョイス可能。今回はトッピングを追加してネギたこ焼き6個入りをいただきました。アツアツのたこ焼きは小腹を満たすのに最高!森仲さんも笑顔ではふはふと楽しんでいました。
- 【今回の散歩コース】
- 下高井戸駅→下高井戸商店街→菅原神社→鶴橋粉舗てこや 下高井戸駅前店
- 【今回訪れたスポット】
- 「菅原神社」東京都世田谷区松原3-20-16
「鶴橋粉舗てこや 下高井戸駅前店」東京都世田谷区赤堤4-45-12
- 出演
森仲ジョウ(モデル、俳優)
モデル、俳優。大阪府出身。特技は野球・ヌンチャク・殺陣。
TOKYO Another Collection2022グランプリ受賞。G-SHOCK時計.ギャツビーをはじめモデル活動実績多数。「やっと気付いた愛のかたち(千葉テレビ)」「THE突破ファイル」「さんま御殿」「めぐる未来」「'Number_i'MV」など映像活動実績も多数。Instagramフォロワー数1万人。
- 執筆者 栗本奈央子(ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。