西荻窪レトロな街をのんびりお散歩

和さんぽ
和さんぽとは 和装で各地をお散歩する企画です。各地の名所、名跡、スポット、食事処などご紹介します。

日本の旅侍×「和と人の交流ちとせ」の企画「和さんぽ」。今回は俳優の島田勇矢さんが西荻窪でイメージチェンジ! 髪を染めた新生・島田さんとレトロで個性的なお店が並ぶ、東京都杉並区・西荻窪エリアをのんびり巡ります。

西荻窪とは

西荻窪はJR中央線・総武線/東京メトロ東西線の「西荻窪駅」を中心としたエリアのこと。かつては西荻窪という町名がありましたが、昭和45年(1970年)をもって中央線を挟んで「西荻北」「西荻南」と地名が変更されたので、現在は駅に名前を残すのみです。とはいえJRの駅名の威力は強く、駅周辺の一帯は今でも「西荻窪」と呼ばれています。

そんな西荻窪の特徴は昔ながらのレトロな街並み。中央線の高架下は都市開発が進んでいますが、駅の周辺はまだ昔ながらの八百屋や肉屋から、おしゃれな個人経営の店舗まで並んでいます。

特にアンティークショップや雑貨屋さん、古本屋さん、カフェは個性的なお店が多く、さんぽ好きに愛される街並みといっても過言ではありません。商店街はもちろんのこと、住宅地でも歩いているとこんなところにもおしゃれなお店が!と驚かされることもしばしばです。のんびり気ままに散歩をし、横道をふらりと入ったところにあるちいさなカフェでくつろぎ、なじみのお店でお買い物を楽しむ…そんなゆったりとしたライフスタイルを叶えてくれるエリアだといえるでしょう。

なお、西荻窪駅から中央・総武線に乗れば、隣駅に吉祥寺または荻窪があり、大型商業施設での買い物には便利。さらに新宿までは中央線で15分弱で移動できます。とはいえ土日祝日は中央線が止まらないのですが、隣の駅でサクッと乗り換えられますよ。また、東京メトロ東西線が乗り入れているので都心へのアクセスに便利です。

ヘアサロン・LEILEI(レイレイ)でイメチェンを

西荻窪駅に降り立った島田さんがまず向かったのは、駅の北口から商店街を歩くこと約7分にあるヘアサロン「LEILEI」です。白と黒を基調にしたサロン内はまるでブティックホテルのような格調高さを感じさせますが、スタッフの皆さんはとってもフレンドリー。顧客の希望を丁寧に聞いて、きめ細やかなアドバイスをし、それぞれに最適なスタイルを提案してくれる、実力派スタッフぞろいのサロンです。

今回島田さんは思い切ってカット&カラーに挑戦!丁寧な施術に加え、気持ちいいシャンプーに思わず笑顔がこぼれていました。スタイリングまでばっちり決めていただいた後は店内で剣舞を披露。ヘアサロンで剣舞というのは世界初の試み、かもしれません。

昭和の香りが漂う「そば処 田中屋」でがっつりランチ

続いて向かったのは、昭和13年(1938年)創業の老舗のお蕎麦屋さん「そば処 田中屋」です。東京女子大の近くにある地域密着型のお店で、入り口に食品サンプルが並ぶ、なんだか懐かしい感じのお店ですよ。

石臼挽き自家製粉を使ったお蕎麦はとっても香りが豊か。東京都麺類協同組合の「東京二八蕎麦」にも登録されています。

冷たいおそばに温かいお蕎麦、天丼やかつ丼などの丼ものに天ぷらの盛り合わせなどさまざまなメニューがありますが、今回は二八そばを、ということで冷たいもりそば「団欒そば」を注文しました。普通のもりそばは220gなのですが、団欒そばはなんと650g…!迫力満点の量でしたが、風味豊かなのど越しの良いお蕎麦なので箸が止まらず、島田さんはぺろりと平らげていました。

源頼朝ゆかりの井草八幡宮

田中屋から北に歩くと長々と続く玉垣が見えてきます。これが井草八幡宮の境内で、何と約1万坪の広さです。

神社の創建ははっきりとわかりませんが、鎌倉時代の建久年間(1190年〜1199年)だと伝わっています。ご祭神は八幡大神(応神天皇)。八幡様といえば源氏の守り神ですが、この神社にも源頼朝が奥州征伐の際に戦勝祈願のために立ち寄ったと伝わっており、以前は建久4年(1193年)に頼朝が手植寄進したという大きな松がありました。昭和48年(1973年)に残念ながら枯れており、現在ある松は2代目です。また、神社では5年に一度、鎌倉の世を忍んで流鏑馬神事が開催されています。

八幡宮は戦の神として名高いことから、室町時代には石神井城の豊島氏を征伐するため太田道灌が戦勝祈願をしに立ち寄っています。さらに江戸時代には3代将軍の徳川家光が社殿を造営させ、朱印領6石を寄進しました。

本殿は今川氏堯が寛文4年(1664年)に改築したもので、杉並区最古の木造建築物です。現在は保護のためコンクリート造りの覆殿の中に納められています。

西荻窪の古刹・善福寺&善福寺公園

井草八幡宮から西荻窪方面に戻ると杉並区の代表的な公園のひとつ・善福寺公園に着きます。約8万㎡の広さを誇る公園で、上の池と下の池に分かれた巨大な「善福寺池」があるのが特徴です。

善福寺池は善福寺川の水源で、2つ合わせてなんと約3万7000㎡の広さを誇ります。かつては武蔵野三大湧水池のひとつとして知られており、江戸時代には神田上水の補助水源として活躍しましたが、現在は湧き水は枯れており、地下水をくみ上げています。

現在上の池はボート遊びが楽しめる桜の名所、下の池は水生植物が広がる静謐な場となっています。このほか、公園内には文治5年(1189年)に源頼朝が奥州征伐に向かう時に水を汲んだと伝わる湧水「遅の井の滝」が復元されています。

公園の名前のもとになったのが、かつて池のほとりにあった「善福寺」で、地名にも残されています。しかし、肝心のお寺はいつの間にか失われており、現在は別の場所に曹洞宗の寺院「善福寺」がありますが、2つのお寺に直接の関係があるかは定かではありません。

ちなみに現在の善福寺の創建年代は不明です。御堂阿闍梨の開山と伝わっており、古くは浄土宗系の「無量山福寿庵」でしたが、宝永6年(1709年)に観泉寺のもとで曹洞宗に宗派を変えたと言われています。現在の「善福寺」の名前になったのは昭和17年(1942年)で、地名にあわせる形で改名しました。

隠れ家のようなカフェ「nido」で一休み

最後に善福寺公園そば、住宅街の中にある隠れ家のようなカフェ「nido」を訪れました。大きなガラス張りが特徴の一軒家がそのままカフェになったお店で、吹き抜けの天井が開放感たっぷり。モダンな内装も素敵ですよ。公園に近く、テラス席に加えて店内にも犬同伴OKなのでかわいいワンちゃんとともに利用しているお客さんが多い印象です。

そしてnidoはドリンクや軽食、焼き菓子をはじめとしたスイーツも充実しています。コーヒーにティーラテ、アップルジンジャーにレモネード、渋いところでは柿の葉茶まであります。

お店の名前である「nido」はイタリア語で鳥の巣。今回はロゴの鳥が描かれたおしゃれなカップでアメリカーノとスコーンをいただきました。公園の緑をながめながらサクサクのスコーンを食べるのは至福のひと時。島田さんものんびりとくつろげたようで、リラックスした表情を見せてくれました。

【今回の散歩コース】
西荻窪駅→LEILEI→そば処 田中屋→井草八幡宮→善福寺公園・善福寺→nido
【今回訪れたスポット】
「LEILEI」東京都杉並区西荻北4-1-13
「そば処 田中屋」東京都杉並区西荻北4-30-2
「井草八幡宮」東京都杉並区善福寺1-33-1
「善福寺」東京都杉並区善福寺4-3-6
「nido」東京都杉並区善福寺4-5-9
島田勇矢
出演 島田勇矢(俳優、殺陣) 俳優、殺陣。大阪府出身。特技は殺陣。剣道2段・弓道2段。
「アバランチ(フジテレビ)」「真犯人フラグ(日本テレビ)」「警視庁ゼロ係〜生活安全課なんでも相談室〜(テレビ東京)」など映像出点多数。舞台「生贄姫-黄泉比良坂 -(Samurai Sword Performance Team)」をはじめ舞台出演も多数。
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栗本奈央子
執筆者 (ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。
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