上野毛緑豊かな上野毛を散歩、水に親しむ

和さんぽ
和さんぽとは 和装で各地をお散歩する企画です。各地の名所、名跡、スポット、食事処などご紹介します。

日本の旅侍×「和と人の交流ちとせ」の企画「和さんぽ」。今回はモデルや役者として活躍中の森仲ジョウさんと一緒に、東京都世田谷区の上野毛地区をお散歩してきました。

上野毛地区とは

世田谷区の南側に位置する上野毛地区は、多摩川沿いにある豊かな自然が残る地区です。明治時代から大正時代にかけては避暑地・別荘地として愛され、現在は緑豊かな閑静な住宅街として人気のスポットとなっています。建物の高さに制限がある地域が多いので、昔ながらの景観を保っているのが特徴で、高層マンションがないので空が広く感じられますよ。

南部には「国分寺崖線」と呼ばれる崖の連なりがあります。多摩川が武蔵野台地を数十万年以上かけて削り取った崖で、崖沿いには林や湧水などが残されています。崖の上からの見晴らしは最高。富士山が今も望める「富士見橋」からは切通の下に東急大井町線が通る姿が拝めます。また、国分寺崖線上には「野毛大塚古墳」をはじめとする古墳が残されています。

地区内流れる丸子川は、徳川家康が六郷領(現大田区)の灌漑用に開いた六郷用水の一部を整備して残したもの。歴史ある川は今ものんびりと流れています。

今回のお散歩のはじまりは東急大井町線の上野毛駅。自由が丘駅までは4駅・急行で約6分で、隣の二子玉川駅では田園都市線と接続できますよ。

田中家の屋敷跡にある上野毛自然公園&上野毛稲荷神社

上野毛駅を出て閑静な住宅街を散歩すること約5分、国分寺崖線にある上野毛自然公園に到着しました。「せたがや百景」にも選ばれた公園は崖の上下にある、ちょっと珍しい形をしています。斜面の上には「サクラの広場」があり、春は美しいソメイヨシノとサトザクラが咲き誇ります。階段を下ると湧き水で作られた流れや丸子川があり、初夏にはショウブが楽しめます。

上野毛自然公園のすぐ隣にあるのが上野毛稲荷神社です。神社は稲荷坂の途中にあり、崖を切り崩した形で鎮座しています。このあたりは上野毛村の名主だった田中家の邸宅があった場所で、神社も元は邸内社でしたが、やがて旧上野毛村の鎮守の神様になりました。

田中家は世田谷城主を務めた吉良家の家臣・田中筑後守重政の末裔で、格の高い名主でした。ちなみに上野毛自然公園も実はもともと「桜楓園」という田中家の庭園です。

ご祭神は倉稲魂神、つまりお稲荷さんです。現在神社は無人で、神職は等々力にある玉川神社の宮司さんが兼務しています。このため神社の御朱印は玉川神社でいただけます。

なお、地図上で見るとサクラの広場からすぐ行けそうですが、実際は斜面の下に降りて上野毛通りを経由しないとたどりつかないので注意しましょう。

日本庭園もある広大な二子玉川公園

上野毛稲荷神社から上野毛通りを多摩川に向かって散歩すること約5分、見えてくるのが巨大な「二子玉川公園」です。国分寺崖線の緑と多摩川の水辺に囲まれた公園は、2013年にオープンしたばかり。世田谷区立の公園としては初の本格的な日本庭園「帰真園」があることでも知られています。

帰真園は回遊式の日本庭園で、広さは約5800平方メートル。多摩川の源流から本流、そして国分寺崖線の丘陵や武蔵野の風景を表現した「縮景」庭園です。なかには多摩川を表した小さな川や富士山を表した「小富士」、本物の富士山を望める「富士見台」など、さまざまなスポットがあります。緑に囲まれた園路はユニバーサルデザインのためお散歩しやすいですよ。

また、世田谷区登録文化財の「旧清水邸書院」も見どころの一つ。明治43年(1910年)頃に中根岸(現東京都台東区)の清水家屋敷内に離れてとして建てられ、大正8年(1919年)に世田谷区瀬田にあった清水家の屋敷に移築し、公園の建設に合わせて移築復元されました。屋敷を建てた人物は当時清水組(現清水建設)で副社長を務めていた清水揚之助氏。このため公園の工事も清水建設が協力しています。

内部は毎週日曜日に公開中。格天井に美しい金襖など、伝統的な和風建築が楽しめます。

ドーナツ&ミートボールのおしゃれカフェ「Donut and Meatball KEOkeo.」

小腹がすいた一行は上野毛駅に戻ることに。ここからは駅前でランチ&スイーツを楽しみます!

まず向かったのが上野毛駅を通過した先にあるドーナツカフェ「Donut and Meatball KEOkeo.」。ドーナツや軽食が楽しめる人気のカフェで、アメリカンな内装はとってもおしゃれ。インスタ映えするスポットがたくさんありますよ。また、こちらのカフェはワンちゃんOKです。

カフェではまず、自家製のパンを使ったミートボールホットドッグにコンビーフのサンドイッチをいただきました。ミートボールはジューシーで自家製のパンにぴったり♪サンドイッチはかりっとしたパンにコンビーフがたっぷり入っていて食べ応えがあります。

さらに森仲さんはシュガー&きな粉ドーナツもチョイス。揚げたてでふわもちのドーナツにかぶりつくと砂糖ときな粉の素朴な味が広がります。さすが評判のドーナツ!と森仲さんはぱくぱくと味わっていました。

「ラトリエ・ア・マ・ファソン」で芸術品のようなグラスデザートを楽しむ

次に散歩で訪れたのは、駅から約50秒という近さの「ラトリエ・ア・マ・ファソン」。上野毛で人気のパフェ屋さんで、パフェ好きで知らない人はいないのでは、というほどの有名店です!! 事前予約不可・2名まで、現金決済のみ、かつ品切れ次第終了というちょっと難易度高めのパフェ屋さんですが、並ぶ価値は十分あります。

ギャラリーのようにおしゃれなアンティーク調のカフェで待つこと数分、もはや芸術作品のようなパフェが出てきて森仲さんも思わず歓声を上げていました。

ひまわりをあしらった「元祖 夏の情景を模したグラスデザート」は、バジルとミントのジュレにマンゴー、ココナツ、ゴールデンパインといった夏らしい食材で仕上げたパフェ。この季節一番人気だそうで、ゴッホの『ひまわり』がスイーツになって出現したかのような美しいパフェは食べるのがもったいない!! 繊細な味わいを堪能しました。

もう一品は旬のフルーツを使った「ピュイダムール仕立て」。果物は季節によりさまざまですが、この日はマンゴーにシャインマスカットが使われていました。ピュイダムールはパイ生地にたっぷりのクリームをつめこんでカラメリゼしたもの。これと果物がさっぱりしていてとっても美味しかったです! 中にはアイスも入っており、さまざまな味のコラボを楽しみました。

「ラ・フィエゾン」でフレンチシェフによる本格デザートを

そして今回最後の散歩スポットはパティスリー「ラ・フィエゾン」。元フレンチシェフが作るフランス菓子は本格的で絶品!キッシュをはじめとしたデリもおすすめです。

今回は上野毛らしい商品を、ということで「上野毛リーフパイ」と「上野毛ガレット」をいただくことに。リーフパイはフランス産バターを使った生地に喜界島のざらめ糖をかけたもので、バターの風味にパリッとした食感がたまりません。ガレットはフランス・ノルマンディー地方のAOP発酵バター&ゲランド産の塩を使っており、さくっとした素朴な味わいでした。上野毛のお土産にいかがでしょうか!

【今回の散歩コース】
上野毛駅→上野毛自然公園→上野毛稲荷神社→二子玉川公園→Donut and Meatball KEOkeo.→ラトリエ・ア・マ・ファソン→ラ・フィエゾン
【今回訪れたスポット】
「上野毛稲荷神社」東京都世田谷区上野毛3-22-2
「二子玉川公園」東京都世田谷区玉川1-16-1
「Donut and Meatball KEOkeo.」東京都世田谷区上野毛1-14-6光屋ビル1F
「ラトリエ・ア・マ・ファソン」東京都世田谷区上野毛1-26-14
「ラ・フィエゾン」東京都世田谷区上野毛1-13-6菊田ビル
森仲ジョウ
出演 森仲ジョウ(モデル、俳優) モデル、俳優。大阪府出身。特技は野球・ヌンチャク・殺陣。
TOKYO Another Collection2022グランプリ受賞。G-SHOCK時計.ギャツビーをはじめモデル活動実績多数。「やっと気付いた愛のかたち(千葉テレビ)」「THE突破ファイル」「さんま御殿」「めぐる未来」「'Number_i'MV」など映像活動実績も多数。Instagramフォロワー数1万人。
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栗本奈央子
執筆者 (ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。
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