桜新町サザエさんと桜の街を散歩

和さんぽ
和さんぽとは 和装で各地をお散歩する企画です。各地の名所、名跡、スポット、食事処などご紹介します。

日本の旅侍が提供する「和さんぽ」。今回は役者やモデルとして活躍中の塚本圭さんと一緒に、東京都世田谷区の桜新町をお散歩してきました。

「サザエさんの街」桜新町とは

東京都世田谷区の桜新町は「サザエさん」の原作者・長谷川町子さん(以下敬称略)が生前住んでいたことから「サザエさんの街」として知られています。街の中には銅像やポスターをはじめとしたサザエさん一家のモチーフがさまざまなところにあり、長谷川町子美術館とあわせてサザエさんの聖地となっています。

「桜新町」という名は、大正2年(1913年)に東京信託が関東初の高級住宅地「新町分譲地」を造成したことから。分譲地を整備する際、道路の両側にソメイヨシノの並木をつくったところ有名になり、後に「新町」から「桜新町」に改称されました。その後八重桜をはじめとした桜が随所に植えられ、現在も桜の名所として知られています。

最寄り駅は東急田園都市線「桜新町駅」で、渋谷駅からは4駅目。東京メトロ半蔵門線に乗り入れているので都心へのアクセスが良いのも特徴です。駅の周辺にはサザエさんのキャラクターの銅像が4ヶ所・12体設置されており、撮影スポットになっています。

「サザエさん通り」でサザエさんのキャラクターを探そう

桜新町駅西口出口から、サザエさんの銅像を横目にまず向かったのが、駅前から長谷川町子美術館まで続く桜新町商店街、通称「サザエさん通り」です。約500mの商店街には、店の軒先や道端などにサザエさんに登場するキャラクターたちがたくさん!!のぼりにもサザエさんにカツオくん、ワカメちゃんが登場しています。

いろいろなところにサザエさん関連の看板やポスターがあり、散歩中に思わず写真を撮ってしまう商店街。塚本さんも「サザエさんのモチーフがあり、美術館にいく途中からすごく楽しめるところだと思いました」と話していました。

長谷川町子美術館&記念館

駅から歩くこと約7分、サザエさん通りの突きあたりの鋼板を右に曲がると「長谷川町子美術館」に到着です。サザエさんの原作者・長谷川町子とその姉が集めた美術品を展示するために1985年にオープンした美術館で、日本画や洋画、工芸品、彫刻など約800点のコレクションを有しています。

横山大観や藤田嗣治、ルノワールにシャガール、ピカソなど有名な芸術家の作品があり、年に数回収蔵コレクション展が開催されています。2024年はアニメサザエさんの55周年を記念して、11月24日まで「アニメサザエさん展『わたくし、サザエでございま~す!』が開催中です。サザエさん好きにはたまりませんね。

さらに2020年7月には、長谷川町子生誕百年を記念して分館「長谷川町子記念館」がオープン。こちらは常設展として代表作『サザエさん』『いじわるばあさん』『エプロンおばさん』に関する展示や、長谷川町子の生涯に関する展示があります。サザエさんではおなじみの昭和のお茶の間も再現されており、ブラウン管のテレビにちゃぶ台と、懐かしい雰囲気を楽しめます。

デジタル技術を駆使した落書きコーナーや絵本やぬり絵を楽しめる畳敷きの小上がりなど、親子で楽しめるコーナーがたくさんあるのが印象的でした。ミュージアムショップやカフェもあり、木のぬくもりに包まれながらのんびりできますよ。

桜新町散歩で忘れずに訪れてほしいのが、美術館裏にある桜新町一丁目緑地、通称「サザエさん公園」です。ここにはサザエさん一家の銅像があり、美術館を優しく見守っています。

古式ゆかしい儀式を受け継ぐ桜の名所・桜神宮

散歩の舞台は美術館から桜新町駅に戻り、北口からカツオくんとワカメちゃんの銅像に見送られて歩くこと約3分、見えてくるのが桜の名所「桜神宮」です。明治15年(1882年)、神代から受け継がれてきた古式神道を蘇らせるため、大中臣家65代で伊勢神宮の筆頭禰宜などを務めた芳村正秉が現在の東京都千代田区神田に建立しました。芳村正秉は教派神道十三派の一派・神習教を立ち上げた人物でもあり、その本山が桜神宮です。

神社は大正4年(1915年)に「西の方角へ直ちに移転せよ」という神託により大正8年(1919年)から大正11年(1922年)にかけて現在の地に移転しました。このため大正12年(1923年)の関東大震災の際も無事で、第二次世界大戦の戦火からも免れました。

ご祭神は天御中主神・高皇産霊神・神皇産霊神という万物の根源を表す三神に加え、伊弉諾尊・伊弉冉尊、天照大御神など。日本神話に登場するさまざまな神々を祀っているため、いろいろな願いにご利益があるとされています。

神社では、釜を使って吉凶を占い、罪穢れを清める「釜鳴り神事」などの古式ゆかしい儀式を今も伝えています。参拝方法も独特で、一般的な「二礼二拍一礼」ではなく、伊勢神宮と同じ「二礼四拍一礼」です。また、桜の名所としても有名で、2月から春にかけては河津桜やソメイヨシノが美しい花を咲かせます。このほか、毎月出される季節の花々をあしらった限定御朱印にも注目です。

塚本さんは以前も桜神宮を訪れたことがあるそうで、「街中にあるのに落ち着いた雰囲気ですごく居心地がよく、心地よくいれる場所」と語っていました。

OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町でコーヒーを堪能

桜新町散歩の休憩スポットとして今回訪れたのは、桜神宮の裏手にある「OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町」さんです。京都で昭和27年(1952年)から続く老舗のコーヒー店「小川珈琲」が2020年にオープンした旗艦店的存在のカフェで、常時21種のコーヒーと、隔週のスペシャリティコーヒーを堪能できます。

豆をフレーバーなどをもとに選んだあとは、エスプレッソ、プワオーバー(ハンドドリップ)、エアロプレスの3種類の入れ方から選択できます。もちろん飲みやすいハウスブレンドコーヒーやカフェオレなどのおなじみのメニューに紅茶、モクテル、スムージーなど様々なドリンクが用意されています。

今回は暑かったのでバランスの取れた甘さが特徴の「ハウスブレンド京都」をカフェラテでいただきました。豆の生産国・農園等を記したカード「BEAN」がついてくるので、より深くコーヒーが楽しめます。

合わせて注文した「抹茶と白花豆のティラミス」は和洋折衷の優しい味で、珈琲とよく合います。塚本さんは「こんなに素敵な珈琲屋さんが桜新町にあるとは!」と大絶賛。「他の珈琲も飲んでみたいし、デザートがすごくおいしかったので、ランチタイムやディナータイムの食事も食べてみたい」とのことでした。  

【今回の散歩コース】
桜新町駅→サザエさん商店街→長谷川町子美術館&記念館→桜神宮→OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町
【今回訪れたスポット】
「長谷川町子美術館」東京都世田谷区桜新町1-30-6
「桜神宮」東京都世田谷区新町3-21-3
「OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町」東京都世田谷区新町3-23-8桜新町1階
塚本圭
出演 塚本圭(俳優・モデル) 大学卒業後、専門学校東京アナウンス学院放送声優科にて、演技・アテレコ・ダンスなどを2年間学び卒業。
ワークショップや舞台稽古などでアクションや殺陣を経験し、現在に至る。また、幼少期から20年程クラシックバレエを習っていた。
専門学校卒業後から舞台を中心に活動。中性的な印象を活かし、女性のみならず青年を演じることもある。
多趣味であり、イラスト作成やゲーム、手芸、お菓子作りなど、創作するものを中心に多岐にわたる。出演舞台の衣装や小道具を作成することもしばしばある。
桜新町
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栗本奈央子
執筆者 (ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。
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