宮島世界遺産・嚴島神社のある島をのんびり散歩

和さんぽ
和さんぽとは 和装で各地をお散歩する企画です。各地の名所、名跡、スポット、食事処などご紹介します。

日本の旅侍×「和と人の交流ちとせ」の企画「和さんぽ」。第八回は引き続き広島県!世界遺産・嚴島神社のある宮島を、前回と同じく和と人の交流ちとせの代表理事で剣舞や殺陣などのパフォーマーとして活躍する鏑木志織さんと、グルメを楽しみつつのんびりとめぐりました。

宮島とは

瀬戸内海の広島湾に浮かぶ宮島。「安芸の宮島」として日本三景の一つに選ばれた名勝です。ランドマークである巨大な鳥居と海に浮かぶ社殿が特徴の嚴島神社は、1996年に世界文化遺産に登録されました。

宮島は古来「神を斎き奉る島」として自然崇拝の対象でした。「聖地」だったことから自然環境が保たれており、島で最も高い標高535mの弥山の頂上付近を中心に原生林が残されています。豊かな自然は「弥山原始林」として国の天然記念物に指定されているほか、世界文化遺産の一部にもなっています。

宮島と本土の距離は最短300m!船で移動しますが、船の航路としては約1800mです。JR宮島口駅、または路面電車の広島電鉄で宮島口駅まで移動し、そこからJR西日本宮島フェリーまたは宮島松大汽船に乗って約10分です。JR西日本宮島フェリーの航路は海から大鳥居と嚴島神社を正面に眺められるので、写真撮影にはピッタリ。宮島松大汽船は往復乗車券&お買いもの券付きのチケットが魅力です。

2022年からはアクアネット広島が新たに高速船の運航をスタートしており、2社より料金は上がるものの宮島までなんと約5分で移動できます。

宮島の名物牡蠣をおしゃれに楽しむなら「牡蠣屋」

宮島に到着して、まず歩いたのが表参道商店街。「清盛通り」の別名がある、嚴島神社へと続く約350mの商店街には飲食店や土産物が軒を連ねます。

宮島は牡蠣の産地としても有名。弥山原始林をはじめとした豊かな自然がはぐくんだ牡蠣は、ぷりっとしてうまみが凝縮されており、とっても濃厚です!そんな宮島の牡蠣を楽しめるお店はたくさんありますが、ワインとともにおしゃれに楽しむなら「牡蠣屋」がおすすめですよ。

牡蠣屋では新鮮ぷりぷりの生牡蠣や香り豊かな焼き牡蠣を厳選された白ワインとともにいただけます。ふわさくの牡蠣フライやかきめし、オイル漬けにグラタンと、牡蠣を楽しみつくせますよ。鏑木さんも「実は牡蠣はあんまり食べられないんですが、生ものが苦手な人でも食べれるぐらい美味しい♪」と大喜び。牡蠣フライはタルタルソースとの相性が抜群で「ビールのおつまみとしても最高!」とのことです。

「藤い屋 宮島本店」でもみじまんじゅうを楽しむ

宮島を代表するスイーツ・もみじまんじゅう。宮島にある紅葉谷にちなんだスイーツを、ということで明治時代の和菓子職人が考案したそうですが、宮島を訪問した伊藤博文が茶屋の娘の手を見て、もみじの形をしたお菓子を提案したという説もあります。女好きで知られる伊藤博文らしいエピソードです。

宮島には数々のもみじまんじゅう屋がありますが、今回おすすめしたいのは「藤い屋 宮島本店」。1925年の創業以来、およそ100年近くもみじまんじゅうを作り続けてきた老舗です。北海道産小豆の皮をむいて作る藤色のこしあんが特徴で、宮島本店では表面がかりっと香ばしい、焼きたてのもみじまんじゅうを楽しめます。焼きたてを食べた鏑木さんは「自然に口の中で溶け、すっと入ってくるような甘さですごく美味しかったです。焼きたてなので柔らかさも違いますね」と素敵な笑顔を見せてくれました。

もみじまんじゅうの種類は代表的なこしあんに加え、つぶあん、抹茶あん、カスタードクリーム、チョコレートの5種類。季節限定のあんも販売されているので見かけたらぜひ購入してみてください。さらに、白玉粉や餅粉の生地をつかった「もみじもち」も販売しているので、もみじまんじゅうと食べ比べるのもおすすめです。

平安神社の香りが漂う海の神殿「嚴島神社」

表参道商店街を過ぎると見えてくるのが、1996年に世界文化遺産に登録された嚴島神社です。推古天皇元年(593年)に佐伯鞍職が創建した神社で、宮島が「神の島」として信仰されていたため、社殿は島の上ではなく遠浅の浜に建てられました。このため満潮時には海の中に沈み、まるで海の中に浮かんでいるかのような幻想的な光景が拝めます。

ご祭神は「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)」「田心姫命(たごりひめのみこと)」「湍津姫命(たぎつひめのみこと)」の宗像三女伸。古くから海や航海安全の神として信仰されてきており、今も交通安全や商業繁栄、必勝・合格祈願、良緑成就など幅広いご利益を得られます。

寝殿造様式を取り入れた社殿は12世紀に平清盛が造営したものがもとになっています。平安時代の雰囲気を感じながら、朱塗りの柱に囲まれた回廊を歩いて参拝しましょう。鏑木さんも「古い都みたい」と感じ入っていました。

嚴島神社のシンボルとして欠かせないのが、大鳥居。高さ16.6m、重さ約60tで、日本最大の木造鳥居とされています。平安時代から建てられており、現在のものは9代目(※諸説あり)。鳥居の根元は杭の上に置いてあるだけで、自重で立っています。干潮時には歩いてくぐれますよ。

今回のお散歩では鏑木さんが大鳥居の前で剣舞を披露!「空と海と鳥居の前というすごいありがたく嬉しい場所でやらせてもらえた」と大喜びでした。とはいえ水が引いておらず、海が生ぬるかったのだとか(笑)。

宮島最古のお寺「大聖院」

続いて向かったのが、嚴島神社から徒歩約7分にある大聖院。嚴島神社の宝物館からだと5分程度で到着する、宮島最古のお寺です。見どころがたくさんある宮島必須のスポットで、鏑木さんも「気持ちの整理をしに行くのにすごく適している」と話していました。

大聖院は大同元年(806年)、弘法大師空海によって開かれたお寺で、真言宗御室派(総本山仁和寺)の大本山です。仁王門をくぐると御成門まで長い石段が続いていますが、石段の黄色い手すりにまず注目してください。手すりの下にある筒は「大般若経筒」で、三蔵法師がインドから持ち帰った全600巻のお経です。この筒を触りながら上ると「無量の福」を得られるんだとか!

御成門をくぐるともとは嚴島神社の本地仏だった「十一面観世音菩薩」などを祀る観音殿が見えてきます。大聖院は明治維新までは嚴島神社の別当寺として祭祀を担当していました。

観音堂では「お戒壇めぐり」ができます。本堂の地下の真っ暗闇を歩くことで、自省をうながし、罪障りを取り除くのだそうです。このほか、開基1200周年の際にダライ・ラマ法王が招待された際に描かれたというチベットの砂マンダラも見学できます。砂マンダラは通常祈りが終わった後は壊されてしまうので、実際に拝めるのはかなり貴重です。

寺内で一番高所にあるという大師堂には弘法大師空海が祀られています。実は大聖院は「日本三大厄除け開運大師」のひとつでもあるんです。また、弥山の守護神・三鬼大権現を祀った魔尼殿も必ず参拝したいところ。魔尼殿に続く階段には魔尼車があり、1回まわすと般若心経一巻を読んだ功徳が得られるそうです。

このほか、勅願堂には豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に護身仏としたと伝わる波切不動明王が、その横には願い事を1つだけ叶えてくれる一願大師が祀ってあり、見どころがたくさん!四国八十八ヶ所の本尊が安置された「遍照窟」は圧巻ですよ。

【今回の散歩コース】
宮島口→宮島表参道商店街(牡蠣屋・藤い屋 宮島本店)→嚴島神社→大聖院
【今回訪れたスポット】
「牡蠣屋」広島県廿日市市宮島町539
「藤い屋 宮島本店」広島県廿日市市宮島町1129
「嚴島神社」広島県廿日市市宮島町1-1
「大聖院」広島県廿日市市宮島町210
鏑木志織
出演 鏑木志織(剣舞・創作舞踊・殺陣) NPO法人「和と人の交流ちとせ」代表理事。特技は剣舞・創作舞踊・殺陣。ミス江戸NADESHIKO2019準グランプリ受賞。JAPAN EXPO in Paris演舞ほか、JAPANIMANGA Night 2018(スイス)、KANAGAWA Festival in Hanoii 2019(ベトナム)等海外公演の実績あり。映画キングダム2にも関わる。Instagramフォロワー数1.8万人。
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栗本奈央子
執筆者 (ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。
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