上町上町周辺エリア〜江戸時代から続く代官屋敷と市場を散歩
- 和さんぽとは 和装で各地をお散歩する企画です。各地の名所、名跡、スポット、食事処などご紹介します。
日本の旅侍×「和と人の交流ちとせ」の企画「和さんぽ」。第六回は引き続き、モデルや役者として幅広く活躍している森仲ジョウさんと、東急世田谷線の上町駅周辺を散歩しました。
上町駅周辺エリアとは
東急世田谷線「上町駅」周辺の上町地区は、世田谷区のほぼ中央にある住宅地をメインとしたエリアです。南北朝時代から吉良氏の領地として栄え、安土桃山時代には上町の代名詞ともいわれるマーケット「ボロ市」の始まりとなる楽市が開かれていました。江戸時代には彦根藩の領地となり、代官が住んだ世田谷代官屋敷などの歴史スポットもありますよ。にも注目です。
世田谷代官屋敷
上町駅からまず向かったのは「世田谷代官屋敷」。駅から徒歩5分にある江戸時代中期に建てられた屋敷で、明治維新まで彦根藩世田谷領20ヵ村の代官を世襲していた大場家の役宅であることから「大場代官屋敷」とも呼ばれています。都内に残された大名の代官屋敷はここだけで、その貴重さから主屋と表門の2棟は住宅建造物では都内初の国の重要文化財に指定されました。
世田谷の地は江戸時代から武蔵国世田谷領2306石として彦根藩の支配下にありました。代官を世襲した大場氏は室町時代は吉良氏の重臣でしたが、北条氏が滅んだのちは土着の郷士として帰農し、のちに彦根藩主の井伊家に仕えています。
現在の建物は元文2年(1737年)頃に7代目の当主・六兵衛盛政が建てたもの。盛政が代官に就任した宝暦3年(1753年)に大規模な改修がされており、その際に寄棟造り茅葺の表門などが建てられたと考えられています。
屋敷は寄棟造り茅葺で、主屋、後世に建てられた内蔵、庭などがあります。母屋の内部は18畳の広々とした「広間」や、代官の執務室として使われた「役所の間」「次の間」などがあります。「切腹の間」と呼ばれる部屋は、「何かあった時はいつでもここで腹を切る覚悟で職務にあたる」という大場家の真摯な心構絵を示した部屋なのだとか。期間限定にはなりますが、畳や板の間に上がって内部を見学できる日も設けられていますよ。
また、代官が治安維持の役目を担っていたことから中庭に白洲跡があり、当時の玉砂利が残されています。
同じ敷地内には世田谷区立郷土資料館があり、世田谷区に関する史料や美術品などが見学できます。入場無料なので気軽に立ち寄りましょう。近くにある「世田谷名木百選」に選ばれたタブノキも必見です。
「ボロ市」で有名なボロ市通り
続いて向かったのはボロ市通り。江戸時代には大山詣でにいく人でにぎわう「大山道」の一部で、現在は「代官様のお膝元」を掲げる静かな商店街です。ここでは毎年12月15日・16日と1月15日・16日の4日間、日本最大級のフリーマーケット「ボロ市」が開催され、多くの人々でにぎわいます。
ボロ市は東京都の指定無形民俗文化財に指定された、440年以上の歴史を持つフリーマーケット。その起こりは安土桃山時代に始まった楽市までさかのぼります。当時の小田原城主・北条氏政が天正6年(1578年)、世田谷城主・吉良氏朝の治める世田谷新宿で開催したのが最初だとされており、当時は毎月1日と6日に6回開催されていたことから「六斎市」とも呼ばれていました。
豊臣秀吉の小田原征伐で北条氏が滅ぼされ、世田谷城が廃城になってからは城下町で開催されていた市は急速に衰えます。やがて年の暮れに1度開催される、農機具や正月用品を扱う歳の市に変容していきました。明治時代には正月15日に開催されるようになり、やがて4日間に増え、現在に至ります。
名前の由来は明治時代に古着やボロ布を多く取り扱うようになったことから。現在は古着に加え骨董品や古道具から日用雑貨、食料品、植木までさまざな商品が販売されており、店舗数はなんと約700店舗!1日におよそ20万人以上が訪れる巨大なフリーマーケットになりました。屋台がずらりと並んでいるので、見ているだけでワクワクしますよ。1975年から販売されているというボロ市名物「代官餅」もお忘れなく。
また、5年に一度、江戸時代の服装を身にまとった地域の人々が「市町代官見廻り行列」を実施。江戸時代の代官行列を再現したもので、前回は2023年に開催されました。
ビーガンにも!アボカド入り「アボカドーナツ」
そんなボロ市通りにあるのが「アボカドーナツ」。タマゴや牛乳、バターといった動物性の食材を使わずにアボカドを練り込んだ手作りドーナツを販売しており、なんとあの「はらドーナッツ」の創業者の手による新業態のお店です。
ドーナツは原料にこだわっており、子どもでも安心して食べられるほか、卵・乳製品にアレルギーのある人にもおすすめ。毎週水曜日には水量限定でアボカドコロッケを販売しており、動物性の食材を使わないヘルシーなコロッケはビーガンからも人気ですよ。さらに毎日個数限定でアボカドコロッケバーガーも販売しています。
森仲さんは定番の「プレーン」に「きなこ」をチョイス。香ばしく揚げられたドーナツはふんわりもっちり感がたまらず、「美味しい」とぱくぱくとどんどん食べ進んでいました。このほか、日替わりのあんこが入った「あんドーナツ」なども人気です。
大きな絶品京風たこ焼き「たこ坊本店」
甘いものを楽しんだ後はしょっぱいもの!というわけで次に向かったのは1998年創業の老舗のたこ焼き屋さん「たこ坊本店」です。京風たこ焼きのお店で、メディアでも何度も取り上げられている行列のできる店なんですよ。
まわりはカリっ、中はアツアツでとろとしたたこ焼きが特徴。大きなたこ焼きがどーんと6個で600円とコスパの良さも特徴です。
森仲さんも「京風たこ焼きオリジナル」を一口でパクリ。食べ応えたっぷりの熱いたこ焼きを「うまい!」とハフハフ楽しみました。このほか、塩とブラックペッパーで楽しむ「ペッパーキング」にブラックペッパーとチーズのコラボがたまらない「ペッパークイーン」といった、ここでしか食べられない名物たこ焼きもおすすめです。
- 【今回の散歩コース】
- 世田谷代官屋敷→ボロ市通り→アボカドーナツ→たこ坊
- 【今回訪れたスポット】
- 「世田谷代官屋敷」東京都世田谷区世田谷1-29-18
「ボロ市通り」東京都世田谷区世田谷1丁目
「アボカドーナツ」東京都世田谷区世田谷1-28-13
「たこ坊」東京都世田谷区世田谷1-16-24榎本ビル
- 出演
森仲ジョウ(モデル、俳優)
モデル、俳優。大阪府出身。特技は野球・ヌンチャク・殺陣。
TOKYO Another Collection2022グランプリ受賞。G-SHOCK時計.ギャツビーをはじめモデル活動実績多数。「やっと気付いた愛のかたち(千葉テレビ)」「THE突破ファイル」「さんま御殿」「めぐる未来」「'Number_i'MV」など映像活動実績も多数。Instagramフォロワー数1万人。
- 執筆者 栗本奈央子(ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。