【久保井朝美さん出演・講演】「お城と剣舞」vol.2を開催しました
2025年5月25日、「日本の旅侍」主催のイベント「お城と剣舞」vol.2を開催しました。昨年8月の第1回に引き続き、東京都杉並区の「BOOK CAFE+BAR COTO COTO」で開催したイベントは大盛り上がり!気象キャスターとして活躍中の久保井朝美さんを招いての講演と、「和さんぽ」でおなじみ、NPO法人「和と人の交流ちとせ」代表理事でパフォーマーの鏑木志織さんの素敵なパフォーマンスが披露されました。レポートでは第一部の回の内容を紹介します!


「お城と剣舞」vol.2 Castle Talk Show
[日程]5月25日(日)
[第一部]14:00~
[第二部]16:30~
[講演]久保井朝美(気象予報士/防災士)
[剣舞]鏑木志織(NPO法人「和と人の交流ちとせ」代表理事、剣舞・創作舞踊・殺陣のパフォーマー)
[会場]BOOK CAFE+BAR「COTO COTO」
[主催]日本の旅侍
[後援]ヤネカベ(株式会社プロタイムズ総合研究所)
お城好きの気象キャスター・久保井朝美さんが城を語る。
今回講演いただいた久保井朝美さんは、NHKの『サタデーウオッチ9』などで気象キャスターとして活躍中。さらに全国のお城をめぐって記事を書いたり講演をしたりイベントに参加したりと、幅広く活動する歴女かつ「城ガール」でもあります。2024年には初の著書『城好き気象予報士とめぐる名城37 天気が変えた戦国・近世の城』が発売されました。
さらにNHKの『日本最強の城スペシャル』にゲスト出演しており、次回は6月26日(木)19時半から放送予定です。城好きは要チェック!!
さて、講演会では今年春の『午後LIVE ニュースーン』内の「トキメキ★お城たび」で特集したという「彦根城」のお話から。番組では彦根城攻めを体験したそうですが、さまざまな罠でなかなか天守にたどりつけず、なんとひこにゃんに火縄銃で撃たれてしまったのだとか(笑)。
そんな久保井さんのお気に入りは彦根城の国宝天守の破風。入母屋破風に切妻破風、廻縁に華頭窓といったおしゃれで華やかな装飾が素敵なのだそうです。


続いては今年の4月1日に大阪城にオープンした「豊臣石垣館」の話題。こちらは豊臣秀吉が築いたころの大坂城の遺構の石垣を地中に降りて見学できるというもの。
石垣は徳川時代と異なり野面積み。さらに石垣の裏側には「裏込め石」と呼ばれる小さな石が詰めこまれており、こちらは雨水を配水するための仕組みだそうです。久保井さんは「お城と天気は切り離すことができない存在」と解説していました。


3番目のお城は久保井さんの地元・愛知県岡崎市の岡崎城。久保井さんは旅行会社のバスツアーでお客様と周辺を巡ったそうで、ツアーのダイジェストを解説いただきました。
久保井さんイチオシのスポットは、復興天守裏側の空堀。堀は敵に攻められないよう作られるものですが、なぜか天守に行くための橋が架かっているそうで「本丸から攻撃できるようになっているのでは?」と「妄想」しているのだとか。「(当時の)人の気持ちはわからないけど、想像するのも楽しみの一つ」と熱く語る久保井さんでした。
このほかツアーでは大樹寺、瀧山東照宮等を回ったそう。大樹寺は桶狭間の戦いで敗れた家康が逃げ帰り、自害しようとしたところ住職からとどめられた、徳川家康再起の地。3代将軍の徳川家光が建立した山門からは岡崎城が見えるようになっており、この2点の約3kmの直線は「ビスタライン」として眺望が保たれているそうです。
瀧山東照宮は日本三大東照宮の一つで、今年5月に50年に一度の修繕工事を行ったばかり。すべて国産の漆で塗りなおした綺麗な東照宮は見ごたえがありますね。


「北いわて・お城コンシェルジュ」が語る東北の城の魅力
実は久保井さん、2024年9月の九戸城まつりで「北いわて・お城コンシェルジュ」に任命されています。というわけで、講演会では北岩手のお城についても紹介してくれました。
まずは岩手県二戸市の九戸城。本誌でも「九戸政実の乱」として解説しましたが、九戸政実は豊臣秀吉の奥州仕置に際し反乱を起こし、奥州再仕置軍6万5000の大軍にわずか5000で立ち向かった武将です。九戸城は難攻不落の城だったため、奥州再仕置軍は城を包囲するもののなかなか攻め落とせませんでした。最終的には無血開城のためにと開いた和議で九戸方をだまし討ちにし、九戸城の人々をなで斬り、つまり皆殺しにしたのだとか…。
そんな歴史が残る九戸城ですが、九戸政実の乱の後は蒲生氏郷が入り、近世城郭として改修されて南部信直のものになりました。この際「福岡城」と改称されています。久保井さんはこの福岡城時代の波打つ石垣が好きなのだそうで、「石垣のビッグウェーブ」と呼んでいるのだとか。
なぜ波打ってるのか?という疑問に対し、久保井さんは「廃城令の『破城の跡』」だと教えてくれました。城のすべての構成物を壊すのは手間なので、一部を壊して「廃城にした」としていたのだとか。九戸城の石垣にははっきりその跡が残っているそうです。おすすめの時期は秋以降。夏は草が多いのでなかなか石垣が綺麗に見えないのだとか。
さらに久保井さんは「城グルメ」として二戸市のご当地パン「丹市パン」を紹介!もちもちの丸いコッペパンにクリームやカレー、チーズなどのさまざまな具をその場ではさんで提供するスタイルで、出来立てが食べられ、しかもパンもおいしい。久保井さん曰く以前訪れた際はチーズと黒豆きな粉を注文したそうですが、カレーもおすすめなんだそうです。九戸城を訪れた際は合わせて訪れたいですね。
このほか、久保井さんは久慈市の山城「久慈城」や鹿角街道を取り込んだ「浄法寺城」、東北では珍しい総石垣の城・盛岡城などを紹介してくれました。特に盛岡城は石垣が綺麗な名城ですが、1つの石をきれいにくりぬいてU字型にした石樋も見どころとのこと。こうした雨水の排水設備に注目するのはさすが気象予報士さん、と思わされました。
ちなみに石樋はさまざまな形のものがあり、たとえば江戸城の天守台の石樋は別の石を組み合わせ、中央に石一個分の穴を綺麗に開けた形だとのこと。この天守台は明暦3年(1657年)の「明暦の大火」で天守が燃えたのち、加賀藩の前田家が担当して築いたそうです。お話を聞いていて、さまざまな城の石樋に注目したくなりました。


質疑応答では現代建築の話も!
イベントの終わりに実施した質疑応答タイムによれば、久保井さんは神社仏閣にも興味があるそうです。花頭窓や高欄など、神社仏閣由来の城建築をきっかけに興味を抱くようになったのだとか。
さらに海外のお城も好きとのことで、オーストリアの世界遺産・シェーンブルン宮殿やノイシュバンシュタイン城、教会建築にも興味があるそうです。ちなみにシェーンブルン宮殿は姫路城と姉妹城提携をしています。加えて現代建築にも興味があるそうで、ポンピドゥーセンターなどを作ったリチャード・ロジャース、アップル本社やロンドン市庁舎を生み出したノーマン・フォスターも好きなのだとか。「建築は絵画と違って日本に来ないので、旅行の原動力にもなっています」と笑顔で答えていました。
鏑木志織さんの演舞は絶好調!演出した舞台の一部も披露してくれました
後半は鏑木志織さんによる剣舞と創作舞踊が披露されました。ご存じ鏑木さんは剣舞や創作舞踊、殺陣のパフォーマー。今回は紺色の着物に白い袴という、さわやかな衣装で登場しました。
披露されたのは風神雷神をテーマにした曲や、久保井さんが気象予報士だったため「虹色提灯」というお天気に関する曲の舞踊。相変わらず優美でうっとりと拝見しました。


そして鏑木さん、実は5月20日に大阪・心斎橋にオープンしたばかりの日本の伝統文化体験施設「道-michi- Samurai Armor & Kimono Experience Osaka」で上演されるSAMURAI SHOWの演出を担当されています。そしてご自身も出演されているとのこと!
今回はそのプログラムの一部を披露いただきました。大坂夏の陣のプログラムで、後藤又兵衛を演じた鏑木さん。迫力満点の殺陣に目が離せませんでした。


このほか「和と人の交流ちとせ」の取り組みの一つである「こども殺陣クラブ」のかわいらしい踊りも披露した鏑木さん。会場全体でポップな音楽とともに大盛り上がりでした。